静岡戦国奇譚

下田市東部伝承
下田市ひめどんぶら

大賀茂の県道から桂部落へと桂川を上がって約1kmの所に直径5mほどの「どんぶら」があります。この近くに、昔、桂城という小さな城があったそうです。
この城にお姫さまがおりました。やさしくて、みんなに尊敬されていました。
ある日、お姫様は散歩に出た帰り道、桂川の小さな滝つぼの側を通りかかりました。姫は、滝つぼの美しさに見とれ、子どものころの思い出にふけっておりました。
日がくれて、城へ帰ろうと、桂川を渡りかけたときあやまって、川に落ちてしまいました。
姫は、あっという間に滝つぼにはまりこみ、どんどん下の方へ流れていき、沈んで行方がわからなくなってしまいました。
それからいく日かたって、夜になると、姫の亡霊が滝つぼに現れるのを人々が見かけるようになりました。
みんなで相談して、姫の墓を滝つぼのそばに作って姫の冥福をいのりました。それ以来、姫の亡霊は現れなくなりました。
そして、その滝つぼをだれいうとなく「ひめどんぶら」というようになったそうです。今でも、供養されています。


出典/「こどもたちのほりおこした静岡県の民話と伝説 第2集」静岡県教育委員会